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過去20年間における米国人の娯楽としての読書時間の変化(文献紹介)

2025年8月20日付けでオープンアクセス(OA)査読誌“iScience”に、過去20年間の米国人の読書時間の変化について分析した論文“The decline in reading for pleasure over 20 years of the American Time Use Survey”が掲載されています。著者はJessica K. Bone氏(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL))等です。

米国の労働統計局による“American Time Use Survey”のデータを用いて、2003年から2023年にかけて(COVID-19のパンデミックの影響を受ける2020年を除く。)の米国人が娯楽として読書した時間と、成人が子どもとともに読書した時間の変化等を分析したとあります。

主な結果として、娯楽としての読書を毎日する人の割合は2004年の28%をピークとして減少傾向にあり、2023年は過去最低の16%であったこと、割合は人種、学歴、所得等によって異なりかつその差は拡大傾向にあること、子どもとの読書時間には有意な変化は見られなかったこと等が示されています。

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国際図書館連盟(IFLA)、オープンアクセスに関する用語や定義をまとめた“Open Access Vocabulary”の第2版を公開

2025年8月22日、国際図書館連盟(IFLA)が、オープンアクセスに関する用語や定義をまとめた“Open Access Vocabulary”の第2版を公表しました。

カザフスタン・アスタナで開催された2025年世界図書館情報会議(WLIC)・IFLA年次大会の中で公表されたもので、新しい用語やより多くの翻訳が含まれているとあります。

WLIC 2025: Day Four highlights(IFLA WLIC)
https://2025.ifla.org/day-four-highlights/

IFLA Open Access Vocabulary – Second Edition(IFLA, 2025/8/5)
https://repository.ifla.org/items/325341ed-b8f4-4363-854c-fe9346b115cf

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日本図書館協会(JLA)認知症バリアフリー図書館特別検討チーム、2025年度の図書館の認知症に関する取組事例を募集中

2025年10月31日まで、日本図書館協会(JLA)の認知症バリアフリー図書館特別検討チームが、図書館における認知症への取組事例を募集しています。

9月21日の「認知症の日(世界アルツハイマーデー)」と9月の「認知症月間(世界アルツハイマー月間)」に関する各館におけるイベントの情報と日頃の取組について募集するものです。

同チームのウェブページに掲載されている「事例報告提出シート」に記入の上、同チームのメールアドレス宛てに送るよう求めています。

なお、今年度は関連情報として、「認知症イノベーションアライアンスワーキング」(事務局:経済産業省)が推進する、認知症の人が製品・サービスの開発プロセスに参画して企業と共創することを目指す「オレンジイノベーション・プロジェクト」についても案内がなされています。

認知症バリアフリー図書館特別検討チーム(JLA)
https://www.jla.or.jp/committees/ninchisho/
※「2025年度の活動」の項目に「図書館の認知症への取組事例の情報提供のお願い」とあります。

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「デジタルアーカイブジャパン・アワード」の2025年受賞者が発表

2025年8月25日、内閣府知的財産戦略推進事務局と国立国会図書館(NDL)が開催した「デジタルアーカイブフェス2025―デジタルアーカイブの新展開―」において、「デジタルアーカイブジャパン・アワード」の受賞者が発表され、授賞式が行われました。

同アワードは、デジタルアーカイブの拡充や利活用の促進に積極的に取り組むアーカイブ機関及び活用者等を顕彰し、それらの取組を広く社会に紹介することで、デジタルアーカイブが日常に溶け込んだ豊かな創造的社会の実現することを目指しています。

2025年の受賞機関は次のとおりです。

・ 裏源氏勉強会(デジタル源氏物語)
・ 熊本県菊池市立図書館(菊池市デジタルアーカイブ)
・ 神戸映画資料館(事業主体:NPO法人プラネット映画保存ネットワーク)(ウェブ版『日本アニメーション映画史』)
・ 国立公文書館アジア歴史資料センター(アジア歴史資料センターデジタルアーカイブ)
・ ROIS-DS人文学オープンデータ共同利用センター(人文学オープンデータ共同利用センター)

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国立国会図書館デジタルコレクションに新聞等約6.9万点を追加

2025年8月、国立国会図書館(NDL)は、国立国会図書館デジタルコレクションに新聞、古典籍、パッケージ系電子出版物等約6.9万点を追加しました。

古典籍及び他機関デジタル化資料のうち著作権の問題がない資料などは、インターネット公開で提供します。

今回追加した資料については、現時点では全文検索の対象とはなっていません。

新聞等約6.9万点を「国立国会図書館デジタルコレクション」に追加しました(NDL, 2025/8/27)
https://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2025/250827_01.html

参考:
国立国会図書館デジタルコレクションに新聞等5,300点を追加 [2025年07月30日]
https://current.ndl.go.jp/car/256218

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EveryLibrary Institute、メロン財団から60万ドルの助成金を獲得

2025年8月25日、図書館や学術機関等の発展と支援に従事する米国の非営利組織EveryLibrary Instituteは、米国のアンドリュー・W・メロン財団から60万ドルの助成金を獲得したと発表しました。

助成金は、あらゆる種類の図書館の支援、図書館における読書促進、図書館資金の確保、図書館の専門家及び職員の支援を行うための、EveryLibrary Instituteの全国的な取組の強化・拡大に用いるとしています。

Mellon Foundation Awards EveryLibrary Institute a $600,000 General Operating Support Grant(EveryLibrary Institute, 2025/8/25)
https://www.everylibraryinstitute.org/mellon2025

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国際子ども図書館、展示会「絵探し絵本となかまたち」を開催

2025年10月7日から12月21日までと2026年1月20日から4月19日まで、国立国会図書館(NDL)国際子ども図書館が、展示会「絵探し絵本となかまたち」を開催します。

2025年12月7日には、山本美希氏(筑波大学芸術系准教授)による関連講演会「文字のない絵本と絵探し絵本の交点を探る」を開催します。

また、関連イベントとして、2025年10月19日、11月9日、2026年2月8日、3月8日にスタッフによるギャラリートークを実施します。

新着情報(国際子ども図書館)
https://www.kodomo.go.jp/index.html
※2025年8月26日付けで「展示会「絵探し絵本となかまたち」を開催します(付・プレスリリース)」とあります。

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飛騨市図書館、「飛騨市図書館未来ミーティング2025」を開催:「第3期飛騨市図書館運営方針」策定に向けた、図書館のあたらしい可能性を探るプロジェクト

2025年7月から、飛騨市図書館(岐阜県)が、「飛騨市図書館未来ミーティング2025」を開催しています。

図書館に関わりのある人が、今ある図書館の魅力を見直し、これからやってみたいことや様々な使い方を提案することで、“あたらしい図書館”をリデザインするプロジェクトとあります。成果は「第3期飛騨市図書館運営方針」に反映される予定としています。

7月18日には、「飛騨市図書館の現在とこれから」と題したオンライントークセッションが開催されました。9月7日には、図書館でやってみたいことや地域とつながる新しい使い方を自由に語り合う「図書館タネまきワークショップ」が開催されます。

その後、11月9日開催予定の「図書館そだて会議」、2026年1月のパブリックコメント募集、3月の成果報告会を経て、4月に新運営方針がスタートするとあります。

飛騨市図書館未来ミーティング2025(飛騨市)
https://www.city.hida.gifu.jp/soshiki/32/72360.html

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米国の公共データの保護・保全に取り組むData Rescue Projectの運営委員会へのインタビュー(記事紹介)

2025年8月21日付けで、米国の非営利団体Ithakaの調査部門Ithaka S+Rのウェブサイトにおいて、米国の公共データの保護・保全に取り組むData Rescue Projectの運営委員会へのインタビュー記事が掲載されています。

Data Rescue Projectは、情報技術とデータサービスに携わる専門家の国際組織International Association for Social Science Information Service and Technology(IASSIST)を始めとする三つのデータ保護・保全に関する組織による共同プロジェクトとして2025年2月に開始され、米国の公共データの保護・保全に取り組んでいます。プロジェクト開始以来、500人を超えるボランティアとともに、米国連邦政府報告書、データセット、リソース等計1,200件以上を特定し、パブリックアクセスを維持するための措置が講じられてきたとあります。

記事では、プロジェクトの内容、立上げの経緯、活動の内容等について、インタビュー形式で紹介されています。

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集英社、オーディオブックを一覧・検索できるウェブサイト「集英社OTOコンテンツ」を提供開始

2025年8月18日、株式会社集英社が、同社のオーディオブックを一覧・検索できるウェブサイト「集英社OTOコンテンツ」を提供開始しました。

読書バリアフリーを広げるための一つの手段としてオーディオブックの楽しみ方を紹介するウェブサイトで、ウェブアクセシビリティに対応としたとあります。

キーワード検索のほか、ジャンルや「わくわく」「はらはら」などの気分を表す言葉での検索が可能となっています。また、個々の作品のあらすじ、再生時間、朗読ナレーター名等の情報、試し聴きや購入が可能な音声配信プラットフォームへのリンクも提供されています。

読書の選択肢を広げる――。音声を通じた読書の楽しみ方を知るためのWEBサイト「集英社OTO(オト)コンテンツ」が8月18日(月)にローンチ。(PR Times(集英社), 2025/8/18)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000763.000011454.html

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図書館振興財団、2026年度振興助成事業の申請受付を開始

2025年8月22日、公益財団法人図書館振興財団が、2026年度振興助成事業の申請受付を開始しました。

対象事業は以下の四つです。

(1)図書館運営に対する助成
(2)これからの図書館のあり方に関する調査・研究およびその実践・実験に対する助成
(3)図書館をはじめとする文化・教育資源保有施設が所有するコレクションの活用を推進する事業に対する助成
(4)「調べる学習」「読書活動」の推進に対する助成

募集期間は2025年8月22日から10月31日までとなっています。

2026年度 振興助成事業 募集を開始いたしました(図書館振興財団, 2025/8/22)
https://toshokan.or.jp/news/show/3797

募集要項・申請書類(図書館振興財団)
https://toshokan.or.jp/guideline/#promotion-section

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ドイツ学術機関連盟、学術出版の発展に向けた新たな戦略“Strategie der Allianz für die Weiterentwicklung des wissenschaftlichen Publikationswesens 2026-2030”を発表

2025年7月30日、ドイツ学術機関連盟(Allianz der Wissenschaftsorganisationen)が学術出版の発展に向けた新たな戦略として、“Strategie der Allianz für die Weiterentwicklung des wissenschaftlichen Publikationswesens 2026-2030”を発表しました。

同連盟のオープンアクセス(OA)に関する戦略“Open-Access-Strategie der Allianz 2021-2025”の内容を更新したものとあります。戦略では、特に重点を置く四領域として、変化の激しい学術出版の分野における動向を評価し適切な働きかけを行うこと、(特にDEALコンソーシアムにおける)更なる交渉に向けた準備を進めること等が挙げられています。

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国立アートリサーチセンター、「ミュージアム運営のためのアクセシビリティ研修」を開始

2025年8月22日、独立行政法人国立美術館国立アートリサーチセンターが「ミュージアム運営のためのアクセシビリティ研修」を開始すると発表しました。

同センターが文化庁委託事業「令和7年度障害者等による文化芸術活動推進事業」の一環として実施するもので、ミュージアムにおけるアクセシビリティの基礎的な知識を身につけるための研修とあります。

対象は全国の美術館・博物館等の運営主体で、eラーニングによる基礎研修と希望団体への講師派遣による対面研修の二段階構成となっています。3期に分けて開催され、第1期受講団体の募集は2025年9月1日から開始されます。

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【イベント】国際子ども図書館、令和7年度児童文学連続講座「物語の伝え方―児童文学基礎講座―」(10/27-28・オンライン)

2025年10月27日と28日、国立国会図書館(NDL)国際子ども図書館が、令和7年度児童文学連続講座「物語の伝え方―児童文学基礎講座―」をオンラインで開催します。

児童文学、詩、昔話、絵本など、子どもに物語を伝える多様な表現方法に焦点を当てながら、児童書や児童サービスに携わる人に必要となる基本的な知識を学ぶ講座です。プログラムは次のとおりです。

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米国専門図書館協会(SLA)と情報科学技術協会(ASIS&T)が合併へ

2025年8月21日、米国専門図書館協会(Special Libraries Association:SLA)と情報科学技術協会(Association for Information Science and Technology:ASIS&T)は、両機関の会員が合併へ向かうことを選択したと発表しました。

SLAとASIS&Tの理事会はそれぞれ、SLAの解散とASIS&TへのSLA会員の受入れを提案していました。今回、両機関において、それぞれ多数の会員が理事会案に賛成したとあり、これにより、両機関は正式に統合されることになります。

また、SLA理事会が解散計画を策定したとあり、合併により、SLAの使命は確実に継承されるとともに、プログラム、アドボカシー、専門家ネットワークの拡大を通じて、会員に新たな機会が開かれるとしています。

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サントリー文化財団、「山崎正和アーカイブ」を公開

2025年8月19日、公益財団法人サントリー文化財団は、劇作家・評論家である山崎正和氏(1934-2020)の蔵書等を収録したデータベース「山崎正和アーカイブ」を公開しました。

同アーカイブは、山崎正和氏の遺族から寄贈された蔵書・資料を、将来の学術研究に資することを目的として、整理、記録、デジタル化したもので、同財団の「山崎正和記念事業」の一環として作成、運営されています。

今回の公開では、主に次のコンテンツが提供されています。

・蔵書類データベース:蔵書目録。一部は、「バーチャル書棚」として仮想再現される。
・デジタルアーカイブ:蔵書のうち書き込み等があるページをデジタル化したもの
・著作リスト
・年譜・出来事

データは、Linked Open Data(LOD)として構築され、SPARQLを用いた検索も可能です。また、デジタル化された画像データは、国際規格IIIFに準拠したビューアで閲覧可能です。

今後も更なる充実に努めるとしています。

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生成AIによる職業のステレオタイプ化:司書はどんな人?(文献紹介)

2025年8月16日付けでJournal of Librarianship and Information Science誌に、生成AIによる職業のステレオタイプ化についての論文“What do librarians look like? Stereotyping of a profession by generative Ai”が掲載されています。著者は、オーストラリアのチャールズ・スタート大学のDirk HR Spennemann氏とKay Oddone氏です。

学校図書館、公共図書館、大学図書館という異なる館種の設定において、ChatGPTによって生成された司書の画像に、性別、民族、年齢等の偏りがあるかどうかを調査しています。

主な調査結果として、生成された司書の多くが白人として描かれており、性別は男性が多く、特に大学図書館では女性の描写はわずか6%にとどまったことや、公共・大学図書館では高齢の司書が多く描かれていたことなどを挙げています。さらに、この結果を踏まえて、図書館員という専門職における差別や不平等の固定化を避けるため、AIが生成した視覚表現を用いる際の慎重な検討の必要性を指摘しています。

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京都工芸繊維大学ヴィジュアルデザイン系研究室と京都府立図書館、「めぐる めくる めくるめく」展を開催中

2025年8月17日から9月20日まで、京都府立図書館(京都市)において、京都工芸繊維大学ヴィジュアルデザイン系研究室合同展示「めぐる めくる めくるめく」が開催されています。

京都工芸繊維大学でデザインを学ぶ学生有志によるブックデザインの展示で、学生が企画、デザイン、印刷、製本まで行った様々な本や雑誌を手に取って楽しむことができます。「本」というメディアを通じて、読書の楽しさやモノとしての本の魅力、図書館という場の価値を再考し、「いま」と「これから」の時代に向けた新たな読書体験を提案するとあります。

京都工芸繊維大学 ヴィジュアルデザイン系研究室×京都府立図書館「めぐる めくる めくるめく」展(京都府立図書館, 2025/8/13)
https://www.library.pref.kyoto.jp/?p=266718

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【イベント】伊藤忠記念財団、読書バリアフリーフォーラム 九州・沖縄「~多様な子どもたちの読書環境の向上を目指して“つながろう”学校と図書館!!~」(9/14・福岡県、オンライン)

2025年9月14日、公益財団法人伊藤忠記念財団の主催により読書バリアフリーフォーラム 九州・沖縄「~多様な子どもたちの読書環境の向上を目指して“つながろう”学校と図書館!!~」が、電気ビル共創館(福岡県福岡市)における現地参加とオンラインにより開催されます。

講演や事例紹介を通じて、多様な特性のある子どもへの読書支援に関する理解を深めるほか、現場から得られる具体的なヒントや課題を共有し、様々な視点から討論を行うとしています。

主なプログラムは次のとおりです。

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カナダ研究図書館協会(CARL)、実践共同体(Community of Practice)のインパクトに関する調査報告書を公開

2025年7月31日、カナダ研究図書館協会(CARL)が、実践共同体(Community of Practice:CoP)のインパクトに関する調査報告書を公開しました。

CoPは、共通の関心を持ち、知識を共有し合う学びのグループのこととされており、CARL会員によるCoPは、研究図書館の専門家がつながり、共通の課題に共同で取り組むための重要な場となっているとあります。その効果や影響を明らかにするため、今回、CARLが支援するCoPに関して、初となる調査が実施されました。

2025年4月10日から5月5まで、参加の度合いや、CARL会員館への所属の有無に関わらず、CARLが支援するCoPに関わる人を対象にアンケート調査が実施され、110人から回答が得られました。調査の結果から、専門家ネットワークの強化、図書館サービス、実践におけるイノベーションの促進において、CoPは重要で前向きな効果をもたらしていることが明らかになったと述べられています。

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