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Elsevier社、オープンアクセス出版における地理的価格設定の対象となるジャーナルを拡大

2025年10月22日、Elsevier社が、低・中所得国向けにオープンアクセス(OA)出版の論文掲載費用(APC)を低く設定する、地理的価格設定(Geographical Pricing for Open Access:GPOA)の対象となるジャーナルを拡大すると発表しました。

2024年に実施されたパイロットプログラムの成功を受けたもので、新たにゴールドOAの150誌が追加され、計約300誌が対象となるとあります。発表によると、GPOAのパイロットプログラムの開始以来、100か国以上の低・中所得国の著者による1万9,000件以上の論文が、対象のジャーナルに掲載されたとあります。

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広島大学図書館、溪水社刊行の書籍62冊を電子化し、リポジトリ上で公開

2025年10月21日、広島大学図書館が溪水社刊行の書籍を電子化し、同大学の学術情報リポジトリ上で公開したと発表しました。

発表によると、溪水社から刊行された紙の書籍のうち、同大学の教員・研究者等が執筆し、現在は絶版等で入手が難しくなっている書籍62冊が電子化されました。同大学では、2024年度に文部科学省の「オープンアクセス加速化事業」に採択されたことを受け、研究成果を社会に発信する体制を全学的に強化しており、本取組もその一環とあります。

溪水社書籍62冊を電子化・公開しました(広島大学図書館, 2025/10/21)
https://www.hiroshima-u.ac.jp/library/news/93521

参考:
早稲田大学図書館、大学の研究成果が収められた学術書をリポジトリでオープンアクセス化するプロジェクトを開始 [2025年04月03日]
https://current.ndl.go.jp/car/251217

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ケンブリッジ大学出版局(CUP)、学術出版のオープンアクセスへの移行を巡る課題に焦点を当てたレポートを公開

2025年10月16日、ケンブリッジ大学出版局(CUP)が学術出版のオープンアクセス(OA)への移行を巡る課題に焦点を当てたレポート“Publishing futures: Working together to deliver radical change in academic publishing”を公開しました。

120か国から3,000以上の研究者、出版関係者、研究資金提供者、図書館員を対象として実施されたオンライン調査から得られた知見に基づくものとあります。レポートでは、今日の学術出版が抱える課題として、「出版数の増大による負荷」「財政的持続可能性」「公平性の欠如」「質より量を重視する研究評価制度」の四点を挙げ、持続可能かつオープンで公平な学術出版の将来に向けた提言が示されています。

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【イベント】研究・イノベーション学会第40回年次学術大会企画セッション「学術書のオープンアクセスについて考える」(11/6・オンライン)

2025年11月6日、研究・イノベーション学会第40回年次学術大会企画セッション「学術書のオープンアクセスについて考える」がオンラインで開催されます。

欧米のオープンアクセス(OA)政策の最新動向を紹介するとともに、日本における学術書籍のOA化の現状と課題を整理し、さらに、研究者・出版社・図書館等の関係者がどのように連携し、持続可能なOAモデルを構築できるかについて議論を深めるとあります。

参加には事前の申込みが必要です。司会及び登壇者は次のとおりです。

・司会
 原田隆氏(東京科学大学 情報理工学院 リサーチ・アドミニストレーター(主任URA))

・登壇者
 天野絵里子氏(京都大学総合研究推進本部 リサーチ・アドミニストレーター(上席)/紀要編集者ネットワーク)
 標葉隆馬氏(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 准教授)
 飯澤正登実氏(合同会社Liberality やまなみ書房)
 髙橋愛典氏(近畿大学経営学部 教授/研究・イノベーション学会 大学経営研究懇談会)

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Open Book Collective、書籍のオープンアクセス出版のための共同資金調達モデルにおける図書館員の経験と参加障壁に関する報告書を公開

2025年10月13日、オープンアクセス(OA)書籍に関わる出版社、図書館員等から成る英国の非営利団体Open Book Collectiveが、書籍のOA出版のための共同資金調達モデルにおける図書館員の経験と参加障壁に関する報告書を公開しました。

報告書は、欧州6か国(フィンランド、フランス、ドイツ、オランダ、ポーランド、スウェーデン)の図書館員を中心に、一部出版社、OAの専門家も対象として行ったインタビューを基にしており、共同資金調達モデルに関する既存の研究や各国のOA出版の現状についてもまとめています。

終章では、共同資金調達モデルの推進に向け、透明性のある資金調達や運営を通じた信頼性の構築、各国のコンソーシアムを通じた図書館の参加を可能にすること、地域・言語・主題面での多様な出版、自国語で出版活動を行う地域の出版社との連携など8項目が提言されています。

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国際STM出版社協会、AIと学術出版に関する情報をまとめたポータルサイトを公開

2025年10月7日、国際STM出版社協会(International Association of Scientific, Technical and Medical Publishers:STM)が、AIと学術出版に関する情報をまとめたポータルサイトの公開を発表しました。

AIを取り巻く急速な変化に対応する出版社等を支援するため、リソースや解説、指針といった情報をまとめたものとあります。

Just launched: the STM AI Portal(STM, 2025/10/7)
https://stm-assoc.org/just-launched-the-stm-ai-portal/

AI Portal(STM)
https://stm-assoc.org/ai-trusted-research/

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米ハワード・ヒューズ医学研究所(HHMI)、新たなオープンアクセス方針を発表

2025年9月24日付けで、米国の医学研究機関ハワード・ヒューズ医学研究所(Howard Hughes Medical Institute:HHMI)が、HHMIの研究者を対象とした新たなオープンアクセス(OA)方針“Immediate Access to Research Policy”を発表しました。

現行のOA方針である“Open Access to Publications Policy”に代わるものです。新方針では、HHMIの研究者に対し、自身が筆頭著者、最終著者又は責任著者として執筆した研究論文をプレプリントとして公開するよう義務付けること等が示されています。2026年1月1日から適用が開始されるとあります。

Publishing and Sharing(HHMI)
https://www.hhmi.org/about/policies/publishing-sharing
※Documentsの項目に“HHMI Immediate Access to Research Policy (effective January 1, 2026)”が掲載されています。

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EBSCO社、2026年の学術雑誌価格上昇の予測値を発表:個別タイトルは4%から7%、パッケージは3%から4%

2025年10月8日、EBSCO社が“2026 Serials Price Projection Report”を発表し、2026年の図書館向け学術雑誌の価格上昇の予測値を公表しています。

レポートでは、外国為替レートを考慮しない場合、電子雑誌は個別タイトルでは4%から7%の上昇、パッケージでは3%から4%の上昇、紙媒体の雑誌では5%から8%の上昇になると予測されています。

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ケンブリッジ大学出版局(CUP)と独・マックス・プランク協会、書籍のオープンアクセス出版に関する契約を締結

2025年9月、ケンブリッジ大学出版局(CUP)と独・マックス・プランク協会が書籍のオープンアクセス(OA)出版に関する契約を締結したことを発表しました。

同契約により、マックス・プランク研究所に所属する研究者は、同出版局を通じて新刊書をOAで出版できるほか、同出版局の学術プラットフォーム“Cambridge Core”上の書籍へ無制限にアクセスできるようになるとしています。

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出版倫理委員会(COPE)、論文撤回に関する編集者向けガイドラインの第3版を公表

2025年8月付けで、学術出版の倫理問題に取り組む国際的な団体である出版倫理委員会(COPE)が、論文撤回に関する編集者向けガイドラインの第3版を公表しました。

編集者にとって、撤回を検討すべき時期、通知に含めるべき内容、通知のタイミング、撤回を裏付ける証拠が不十分な場合の対応等についてまとめられています。

2019年に公表されたガイドラインの第2版を改訂したもので、同一号において多数の論文が影響を受ける一括撤回の対応等について新たなセクションが設けられているほか、2025年にCOPEが新たに公表した編集者の懸念表明に関するガイドライン“Expressions of concern”の内容に沿うものとしたあります。

Retraction guidelines(COPE, 2025/8/29)
https://doi.org/10.24318/cope.2019.1.4

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Library Publishing Coalition(LPC)、デジタル保存に関する図書館出版者向けガイドを公開

2025年9月15日、図書館による出版活動を進める大学図書館等によるイニシアティブLibrary Publishing Coalition(LPC)が、デジタル保存に関する図書館出版者向けガイド“Quick Guides to Digital Preservation for Library Publishers”を公開しました。

図書館出版者に向けて、出版物のデジタル保存に取り組むための最初のステップを紹介したもので、「保存対象リストの作成」「保存方針の策定」等の4テーマで構成されています。LPCのウェブサイトからHTML版とPDF版が利用可能です。

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英国物理学会出版局(IOP Publishing)、生成AIと査読に関する研究者の意識を調査した報告書を公表

2025年9月10日、英国物理学会出版局(IOP Publishing)が、生成AIと査読に関する研究者の意識を調査した報告書“AI and Peer Review 2025 – Insights from the global reviewer”をウェブサイト上で公表しました。

同出版局が2024年に公表した、査読に関する調査報告書“State of peer review 2024”に続くものです。今回の調査では、物理学分野の研究者が査読におけるAIの活用をどのように捉えているか、2024年の調査で見られた傾向がどのように変化したのか等が検証されたとあります。

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日本図書館研究会、『図書館界』第1巻から第50巻をJ-STAGEを通じて公開する計画を承認

日本図書館研究会が、「『図書館界』バックナンバーの電子化・公開に伴うお知らせとお願い」をウェブサイト上に掲載しました。

同研究会では、2010年に『図書館界』第51巻以降のバックナンバー及びカレント刊行分について電子化を行い、J-STAGEを通じて公開していますが、この度、第1巻から第50巻についても、遡及的にJ-STAGEを通じたオープンアクセス(OA)化を実施することが2025年度事業計画として承認されたとあります。

これに伴い、会員及び該当号に記事・論文を掲載した人に向けて、該当号に掲載された記事・論文等の電子化・公開を辞退する場合は、2026年2月28日までに同研究会の事務局に申告するようお願いするとしています。

『図書館界』バックナンバーの電子化・公開に伴うお知らせとお願い(日本図書館研究会)
https://www.nal-lib.jp/kaibackopen/
※本件は『図書館界』77巻3号(2025年9月)に掲載されたものとあります。

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CLOCKSS、ダイヤモンドオープンアクセス出版物の保存に向けた試行プロジェクトを開始

2025年9月4日、学術情報資源の長期保存を目的としたプロジェクトであるCLOCKSSが、ダイヤモンドオープンアクセス(OA)出版物の保存に向けた試行プロジェクトを開始すると発表しました。

ダイヤモンドOAジャーナルの多くが長期保存のためのリソース不足という課題を抱えるとされる中、同プロジェクトは、将来の世代もこれらのジャーナルにアクセス可能とすることを目指すとあります。

New Pilot: Diamond Open Access(CLOCKSS, 2025/9/4)
https://clockss.org/new-pilot-diamond-open-access/

参考:
欧州・DIAMASがダイヤモンドオープンアクセスに関する国際的な提言・ガイドラインを公表 [2025年05月30日]
https://current.ndl.go.jp/car/253424

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Taylor & Francis社、透明性の高い査読(TPR)を導入したパイロットプログラムに関する調査結果を公開

2025年9月4日、Taylor & Francis社が、透明性の高い査読(Transparent Peer Review:TPR)を導入したパイロットプログラムに関する調査結果を公開しました。

TPRは、査読報告書が掲載論文と併せて公開されるプロセスで、査読者の氏名は匿名のままとされています。同社では、2023年4月からEuropean Journal of Higher Education(EJHE)誌においてTPRを導入するパイロットプログラムを実施していました。

同社では、2023年4月から2025年2月の間に同誌で掲載された論文の著者及び査読者に対してTPRの評価等を目的とするアンケート調査を2025年2月下旬に実施し、著者52人(回答率4%)、査読者243人(回答率15%)から回答が得られたとあります。調査報告では、得られた回答を基に、TPRに対する著者と査読者の評価等がまとめられています。

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米国情報標準化機構(NISO)、オープンアクセス出版の業務プロセスに関する推奨事項をまとめた文書の草案を公開:パブリックコメントを実施中

2025年8月29日、米国情報標準化機構(NISO)がオープンアクセス(OA)出版の業務プロセスに関する推奨事項をまとめた“NISO Recommended Practice on Open Access Business Processes (OABP)”の草案をウェブサイト上で公開しました。

発表によると、同文書は、近年急増するOA出版に対応するため、従来の購読モデルを前提としたシステムやワークフロー等における課題を解決することを目的としています。10月17日まで草案に対するパブリックコメントが実施されています。

Press Releases(NISO)
https://www.niso.org/press-releases
※2025年8月29日付けで“NISO’s Draft Recommended Practice for Open Access Business Processes Now Open for Public Comment”とあります。

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EIFLの交渉によるオープンアクセス契約の効果(記事紹介)

2025年8月27日付けで、開発途上国において図書館を通じた情報へのアクセス向上に取り組む非営利団体EIFLのウェブサイトに、EIFLの交渉によるオープンアクセス(OA)契約の効果に関する記事“EIFL agreements increase publishing in open access”が掲載されました。

EIFLでは、2016年から、パートナー国のコンソーシアム及びその加盟館に代わって出版社とOA契約の交渉を行っています。2024末までに、14のOA契約に関する交渉が行われました。記事では、2024年には35のEIFLパートナー国の著者による論文2,958件がOAで出版され、2023年から69%増加したことなど、EIFLの交渉によるOA契約の効果について紹介されています。

EIFL agreements increase publishing in open access(EIFL, 2025/8/27)
https://www.eifl.net/news/eifl-agreements-increase-publishng-open-access

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