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大学図書館のリサーチガイドが学生の情報リテラシー能力向上にもたらす効果に関する文献レビュー(文献紹介)

米国の大学・研究図書館協会(ACRL)刊行のオープンアクセス誌“College & Research Libraries”(C&RL)の86巻5号に、大学図書館のリサーチガイドが学生の情報リテラシー能力向上にもたらす効果に関するレビュー記事“Effectiveness of Academic Library Research Guides for Building College Students’ Information Literacy Skills: A Scoping Review”が掲載されています。著者は、米・ネブラスカ大学リンカーン校のErica Lynn DeFrain氏等です。

記事では、リサーチガイドが学生の情報リテラシー能力向上にもたらす効果に関する61件の論文をレビューした結果等がまとめられています。主な調査結果として、多くの研究において、学生がリサーチガイドに対して肯定的な認識を持つことが示された一方、その調査手法に透明性を欠いている、成果に関する評価枠組みが明確でないといった課題も抱えていたこと等が挙げられています。

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米・ネブラスカ大学、図書館主導のプログラムにより無料・低価格教材の利用が拡大:学生に数百万ドルの節約効果

2025年10月8日付けで、米・ネブラスカ大学リンカーン校が、同大学図書館が主導するプログラム“Libraries Course Materials”を紹介する記事をウェブサイトに掲載しました。

このプログラムでは、学生は図書館の蔵書から教科書やその他の教材にアクセスすることが可能であり、ユーザーライセンス無制限の電子書籍も利用できるとあります。これまでに学生にもたらした節約効果は、総額300万ドル以上に上るとされます。

また、このプログラムの拡大の可能性を探るために同大学図書館が実施しているパイロット調査の紹介もなされており、これまで同プログラムを利用していなかった27の講義のうち、24の講義では、図書館が支援するリソースに切り替えることで学生の負担を軽減できる可能性があると分かったことなどが述べられています。

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米・ヒューストン公共図書館、移民の声を伝えるポッドキャストを作成(記事紹介)

2025年10月28日付けで、米国図書館協会(ALA)公共プログラム部(Public Programs Office)のウェブサイト“Programming Librarian”に、移民の声を伝えるポッドキャストの作成に関する記事“Moving People: Connected Stories Podcast”が掲載されています。

ALA公共プログラム部とアメリカ人類学会(AAA)の連携による巡回展示“World on the Move: 250,000 Years of Human Migration”との関連の下、テキサス州のヒューストン公共図書館が実施した取組の紹介です。全米でも有数の多文化都市であるヒューストンの多様性を紹介することが目的であり、ゲストとして招いた移民には、移住の苦労や成功など、それぞれの体験を語ってもらい、ポッドキャストを作成したとされます。

記事では、録音に係る作業や留意点など、運営上の具体的な経験も紹介されています。

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米・ボストン公共図書館、スパイスバンクを開始

2025年10月23日、米・ボストン公共図書館(BPL)が、BPLスパイスバンクの開始を発表しました。全米で最大級のフードバンクとされるThe Greater Boston Food Bankとの協働の取組です。

利用者が未開封のスパイスと乾燥ハーブをBPLの対象分館に持参すると、同フードバンクの協力により、マサチューセッツ州東部の家庭や個人に寄付されるなどとあります。

Donate to the BPL Spice Bank(BPL, 2025/10/23)
https://www.bpl.org/news/donate-to-the-bpl-spice-bank-3/

参考:
E2602 – 図書館とFood Justice:北米の都市図書館協議会による報告書
カレントアウェアネス-E No.458 2023.06.15
https://current.ndl.go.jp/e2602

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米・コロンビア特別区巡回区連邦控訴裁判所、著作権局長の解任措置の一時差止めを命令

2025年9月10日、米・コロンビア特別区巡回区連邦控訴裁判所は、著作権局長・パールムッター(Shira Perlmutter)氏の職務遂行を、さらなる裁判所の命令が出るまで妨げないよう、大統領府関係者等に命じました。

2025年5月10日に、ホワイトハウス人事局(White House Presidential Personnel Office)からパームルッター氏に対し即時解任を通告するメールが送られたことを受け、同氏は、自身の解任は違法であり、著作権局長を解任できるのは米国議会図書館長(the Librarian of Congress)のみであると主張し、連邦地方裁判所に提訴しました。併せて、差止め命令等の仮処分を申し立てていましたが、却下されました。これを受け、同氏側は控訴裁判所に緊急申立てを行っていました。

控訴裁判所の3人の判事のうち、今回の命令に賛成した2人の判事は、著作権局長の解任権は米国議会図書館長が持つものと考えられ、パールムッター氏の解任は違法である可能性があるとしています。

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生成AI時代の攻撃的なクローラートラフィックの緩和:米・ノースカロライナ大学チャペルヒル校図書館の経験(文献紹介)

オープンアクセス誌Code4Lib Journal誌のIssue 61(2025年10月21日掲載)に、“Mitigating Aggressive Crawler Traffic in the Age of Generative AI: A Collaborative Approach from the University of North Carolina at Chapel Hill Libraries”と題する記事が掲載されています。著者は米・ノースカロライナ大学チャペルヒル校図書館のソフトウェア開発責任者(Head of Software Development)であるJason Casden氏等です。

この記事は、2024年春以降、同館が、クローラー(ボット)による攻撃的なトラフィックにどのように対処したかを紹介しています。悪意のあるリクエストの進化と、それらに対して同館が講じた対処を具体的に示した上で、教訓、今後の方向性、結論をまとめています。

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米国の三つの図書館コンソーシアム、言論の自由に関する共同声明を発表

2025年10月23日、米国の三つの図書館コンソーシアムが、言論の自由に関する共同声明を発表しました。

声明を発表したのは、ペンシルバニア州の大学図書館の連合体“Partnership for Academic Library Collaboration & Innovation:PALCI”、イリノイ州の学術研究図書館のコンソーシアム“Consortium of Academic and Research Libraries in Illinois:CARLI”及びオレゴン州、ワシントン州、アイダホ州の大学で構成される非営利コンソーシアム“Orbis Cascade Alliance”です。声明は、これらの団体の理事会において2025年10月に承認されました。

図書館は、コレクション構築方針への圧力から検閲や研究へのアクセス制限に至る課題が山積するにつれ、集合的なエコシステムが影響を受けており、団結した声を上げることが不可欠となっているとしています。

声明では、全ての人が干渉されることなく、読書し、学び、意見を交換する権利を強く支持することなどが表明されています。

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米・ワシントン州の公共図書館、地域のオープンデータの公開に取り組む小規模図書館向けツールキットを公開

OCLCが運営するウェブサイトWebJunctionの2025年10月13日付けの記事で、米・ワシントン州の公共図書館Asotin County Libraryが作成した、オープンデータに関する図書館向けツールキット“Open Data Toolkit for Libraries”について紹介されています。

同ツールキットは博物館・図書館サービス機構(IMLS)の助成を受けて、Asotin County Libraryの図書館職員によって開発されました。主にリソースが限られる小規模な図書館を対象として、地域に関する情報をオープンデータとして公開する取組を進める際に役立つツールを提供するものとあります。

Local open data made simple: A toolkit for any-sized library(WebJunction, 2025/10/13)
https://www.webjunction.org/news/webjunction/local-open-data-toolkit-news.html

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米・オレゴン州立図書館、州内の図書館や学校における図書等の利用制限申立て等に関する報告書の2025年版を公開

2025年10月2日、米・オレゴン州立図書館が、同州内の図書館や教育機関における図書の利用制限申立て等に関する報告書の2025年版を公開しました。

オレゴン州立図書館が運営するオレゴン知的自由情報公開センター(Oregon Intellectual Freedom Clearinghouse:OIFC)による報告書の2025年版です。OIFCは、オレゴン州の図書館等における知的自由の問題に関する情報を収集することなどを主な使命として1987年に設立されました。

報告書では、2024年7月1日から2025年6月30日までの同州内の図書館や教育機関における利用制限申立て等の状況がまとめられています。報告書によると、1年間で50件の申立てがあり、前年から21%減少しました。

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米国の大学におけるAIポリシーと図書館の関与(文献紹介)

2025年9月29日付けで、図書館のリーダーシップとマネジメントに関する査読誌Journal of Library Administrationが、米国の大学におけるAIポリシーと図書館の関与についての記事“AI Policies in U.S. Universities: A Critical Analysis of Policy Gaps and Library Involvement”をオンラインで公開しています。著者は、米・南フロリダ大学のErin McCusker氏等です。

米国の各州から1校ずつ計50校の4年制大学におけるAIポリシーとリソースを批判的に検証し、北米研究図書館協会(ARL)が策定したAIに関する指針“Guiding Principles for Artificial Intelligence”との整合性を評価しています。

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米国内の国立公園の看板等のアーカイブに取り組むプロジェクトSave Our Signs、“Save Our Signs Archive”を公開

2025年10月13日、米国内の国立公園の看板等のアーカイブに取り組むプロジェクトSave Our Signsが、“Save Our Signs Archive”を公開しました。

Save Our Signsは、図書館職員、歴史家、データ専門家等によって立ち上げられたプロジェクトで、米国の公共データの保護・保全に取り組むData Rescue Project等と提携し、全米の国立公園の標識等のアーカイブに取り組んでいます。

米国では、「米国史に真実と理性を取り戻す」(Restoring Truth and Sanity to American History)とした大統領令第14253号に基づき、内務長官が公園内の「過去及び現在の米国人を不適切に貶める」看板等について報告するよう人々に呼びかけたことを受けて、不適切とみなされた看板等が撤去等されているとあります。こうした事態を受け、Save Our Signsでは、国立公園から姿を消してしまうかもしれない看板、展示物、解説文等のデジタルアーカイブ構築に取り組んでいるとあります。

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米・Pew Research Center、米国成人のソーシャルメディアの利用とニュースの入手に関するファクトシート(2025)を公開

2025年9月25日、米国の調査機関Pew Research Centerが、米国成人のソーシャルメディアの利用とニュースの入手に関するファクトシートを公開しました。

Pew Research Centerでは、2025年8月18日から24日にかけて米国の成人5,525人を対象にソーシャルメディアの利用及びニュースの入手に関する調査を実施し、5,153人から回答が得られたとしています。調査の結果として、回答者の53%がソーシャルメディアからニュースを入手していること、定期的にニュースを入手するプラットフォームとして最も利用されているのはFacebook(38%)で、次いでYouTube(35%)であることなどが紹介されています。

ファクトシートでは、2020年から2025年までの各調査項目の調査結果の推移も示されています。

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米国の大学・研究図書館協会(ACRL)、AIに関して大学図書館の職員に求められる能力を示した文書“AI Competencies for Academic Library Workers”を公開

米国の大学・研究図書館協会(ACRL)が、AIに関して大学図書館の職員に求められる能力を示した文書“AI Competencies for Academic Library Workers”を公開しました。

この文書は、2024年7月に設立されたACRLのAI Competencies for Library Workers Task Forceが策定し、2025年10月の理事会で承認されたものです。

AI Competencies for Academic Library Workers [PDF:10ページ]
https://www.ala.org/sites/default/files/2025-10/acrl_ai_competencies.pdf

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【イベント】研究・イノベーション学会第40回年次学術大会企画セッション「学術書のオープンアクセスについて考える」(11/6・オンライン)

2025年11月6日、研究・イノベーション学会第40回年次学術大会企画セッション「学術書のオープンアクセスについて考える」がオンラインで開催されます。

欧米のオープンアクセス(OA)政策の最新動向を紹介するとともに、日本における学術書籍のOA化の現状と課題を整理し、さらに、研究者・出版社・図書館等の関係者がどのように連携し、持続可能なOAモデルを構築できるかについて議論を深めるとあります。

参加には事前の申込みが必要です。司会及び登壇者は次のとおりです。

・司会
 原田隆氏(東京科学大学 情報理工学院 リサーチ・アドミニストレーター(主任URA))

・登壇者
 天野絵里子氏(京都大学総合研究推進本部 リサーチ・アドミニストレーター(上席)/紀要編集者ネットワーク)
 標葉隆馬氏(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 准教授)
 飯澤正登実氏(合同会社Liberality やまなみ書房)
 髙橋愛典氏(近畿大学経営学部 教授/研究・イノベーション学会 大学経営研究懇談会)

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パンデミック以降の博物館来館者数の回復の推移(米国)(記事紹介)

2025年10月3日付けで、米国博物館同盟(American Alliance of Museums:AAM)が、パンデミック以降の博物館来館者数の回復の推移に関する記事をウェブサイトに掲載しました。

AAMでは、Wilkening Consulting社に委託し、博物館来館者調査を2020年から毎年実施しています。記事では、2025年調査の結果の一部を紹介しつつ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック以降の来館者数の推移等が示されています。パンデミック以前の入場者数に戻った博物館は増えてはいるものの、多くの博物館ではまだ回復途上にあるとしています。

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PEN America、米国の公立学校における2024-2025年の禁書の動向に関する報告書を公開

2025年10月1日、表現の自由の保護等に取り組む米国の非営利団体PEN Americaが、米国の公立学校における2024-2025年の禁書の動向に関する報告書“The Normalization of Book Banning: Banned in the USA, 2024-2025”を公開しました。2021-2022年、2022-2023年、2023-2024年に続く、4回目の報告書です。

報告書によると、2024年7月から2025年6月の間に、23州の87の公立学区において6,870件の禁書事例があり、3,752タイトルが撤去されました。

報告書では、過去3回の調査結果との比較、州別の動向、禁書となった本のタイトルや内容等がまとめられています。

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米ハワード・ヒューズ医学研究所(HHMI)、新たなオープンアクセス方針を発表

2025年9月24日付けで、米国の医学研究機関ハワード・ヒューズ医学研究所(Howard Hughes Medical Institute:HHMI)が、HHMIの研究者を対象とした新たなオープンアクセス(OA)方針“Immediate Access to Research Policy”を発表しました。

現行のOA方針である“Open Access to Publications Policy”に代わるものです。新方針では、HHMIの研究者に対し、自身が筆頭著者、最終著者又は責任著者として執筆した研究論文をプレプリントとして公開するよう義務付けること等が示されています。2026年1月1日から適用が開始されるとあります。

Publishing and Sharing(HHMI)
https://www.hhmi.org/about/policies/publishing-sharing
※Documentsの項目に“HHMI Immediate Access to Research Policy (effective January 1, 2026)”が掲載されています。

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米・ハーバード大学ロースクールのLibrary Innovation Lab、“Data.gov Archive Search”を公開

2025年10月10日、米・ハーバード大学ロースクール図書館のLibrary Innovation Lab(LIL)が、“Data.gov Archive Search”の公開をブログ上で発表しました。

LILが収集・保存した連邦政府のデータポータル“Data.gov”上のデータセットを検索するためのインターフェースとされます。

Welcome to LIL’s Data.gov Archive Search(LIL, 2025/10/10)
https://lil.law.harvard.edu/blog/2025/10/10/welcome-to-lil-s-data-gov-archive-search/

Data.gov Archive Search
https://lil.law.harvard.edu/data-gov-archive/

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米国図書館協会(ALA)、米国連邦通信委員会(FCC)による図書館や学校へのホットスポット貸出プログラム等の終了について声明を発表

2025年9月30日、米国図書館協会(ALA)が、米国連邦通信委員会(FCC)による図書館や学校へのホットスポット貸出プログラム等の打切りについて声明を発表しました。

FCCは、学校・図書館のブロードバンド環境構築のための補助金制度であるE-Rateを通して、学校や図書館の外で学生や図書館利用者が利用できるWi-Fiホットスポット貸出プログラムやスクールバスWi-Fiへの支援を行ってきましたが、同日付けでE-Rateによる支援の終了を発表しました。

これを受け、ALAでは、学校や図書館向けのホットスポット貸出プログラム等は、自宅で安定したインターネット接続が利用できない多くの学生や図書館利用者に重要な接続環境を提供してきたとし、今回のFCCの決定に失望しているとするほか、その決定に至る手続において、図書館関係者等が意見を述べる機会が与えられなかったことなどについて落胆したとしています。

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米国の出版取次Baker & Taylor社の段階的な事業縮小と図書館界への影響(記事紹介)

2025年10月8日付けで、米国図書館協会(ALA)が刊行するAmerican Libraries誌に、主に公共・大学図書館向けにサービスを展開している米国の出版取次Baker & Taylor社が事業を段階的に縮小すると報道されている件について紹介した記事が掲載されています。著者は図書館システムコンサルタントであるMarshall Breeding氏です。

記事では、Publishers Weekly誌を始めとするメディア報道等を基に、本件に関するこれまでの経緯や背景、図書館界への影響等が述べられています。

Baker & Taylor to Cease Operations(American Libraries , 2025/10/8)
https://americanlibrariesmagazine.org/2025/10/08/baker-taylor-to-cease-operations/

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