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Elsevier社、オープンアクセス出版における地理的価格設定の対象となるジャーナルを拡大

2025年10月22日、Elsevier社が、低・中所得国向けにオープンアクセス(OA)出版の論文掲載費用(APC)を低く設定する、地理的価格設定(Geographical Pricing for Open Access:GPOA)の対象となるジャーナルを拡大すると発表しました。

2024年に実施されたパイロットプログラムの成功を受けたもので、新たにゴールドOAの150誌が追加され、計約300誌が対象となるとあります。発表によると、GPOAのパイロットプログラムの開始以来、100か国以上の低・中所得国の著者による1万9,000件以上の論文が、対象のジャーナルに掲載されたとあります。

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ダイヤモンドの夢、不平等な現実:APCなしのオープンアクセスの可能性と落とし穴(記事紹介)

学術情報流通に関連した話題を提供する学術出版協会Society for Scholarly Publishing(SSP)が運営するブログ“The Scholarly Kitchen”に、2025年10月15日付けで、記事“Diamond Dreams, Unequal Realities: The Promise and Pitfalls of No-APC Open Access”が掲載されています。著者は、アジア科学編集者評議会(Asian Council of Science Editors:ACSE)のMaryam Sayab氏です。

著者にも読者にも費用負担を求めないダイヤモンドオープンアクセス(OA)について、記事では、世界の各地域における導入事例を紹介しつつ、現在のダイヤモンドOA出版が直面している問題等を取り上げています。

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Science Europe、オープンサイエンスの実践が研究文化に与える影響に関する報告書を公表

2025年10月20日、欧州の研究機関・研究助成機関から構成されるScience Europeが、オープンサイエンスの実践が研究文化に与える影響に関する報告書“Scoping Review: the Contributions of Open Science to Research Culture”を公表しました。

Science Europeの委託を受けて、オランダ・ライデン大学の科学技術研究センター(Centre for Science and Technology Studies:CWTS)の研究者等が共同で作成したものです。報告書では、オープンサイエンスに関する学術文献及び灰色文献62件をレビューし、オープンサイエンスの実践が研究文化に与える影響、その背景にあるメカニズムや要因等が分析されているとあります。

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広島大学図書館、溪水社刊行の書籍62冊を電子化し、リポジトリ上で公開

2025年10月21日、広島大学図書館が溪水社刊行の書籍を電子化し、同大学の学術情報リポジトリ上で公開したと発表しました。

発表によると、溪水社から刊行された紙の書籍のうち、同大学の教員・研究者等が執筆し、現在は絶版等で入手が難しくなっている書籍62冊が電子化されました。同大学では、2024年度に文部科学省の「オープンアクセス加速化事業」に採択されたことを受け、研究成果を社会に発信する体制を全学的に強化しており、本取組もその一環とあります。

溪水社書籍62冊を電子化・公開しました(広島大学図書館, 2025/10/21)
https://www.hiroshima-u.ac.jp/library/news/93521

参考:
早稲田大学図書館、大学の研究成果が収められた学術書をリポジトリでオープンアクセス化するプロジェクトを開始 [2025年04月03日]
https://current.ndl.go.jp/car/251217

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研究コミュニティを支援するオープンな学術インフラ提供機関等の運営・維持のためのガイドライン“The Principles of Open Scholarly Infrastructure”(POSI)の第2版が公開

2025年10月付けで、研究コミュニティを支援するオープンな学術インフラ提供機関等の運営・維持のためのガイドラインを示した“The Principles of Open Scholarly Infrastructure”(POSI)の第2版が、POSIのウェブサイト上で公開されました。

同ガイドラインは、Crossref、DataCite、DOAJを始めとする、POSIを採用している組織やイニシアティブが共同で管理しているものです。

The Principles of Open Scholarly Infrastructure
https://openscholarlyinfrastructure.org/
※“POSI version 2.0 released October 2025”とあります。

POSI Adopters
https://openscholarlyinfrastructure.org/adopters/

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オープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR)、オープンアクセスウィーク2025の特設ページを開設

22025年10月17日、オープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR)が、オープンアクセスウィーク2025に関する特設ページを公開しました。

オープンアクセスウィーク(International Open Access Week)は、学術出版のオープンアクセス(OA)を推進する非営利団体である米・SPARCが毎年10月に開催しているイベントです。2025年のテーマは“Who Owns Our Knowledge?”(我々の知識は誰のものなのか)で、10月20日から26日まで開催されています。

JPCOARの特設ページには、イベントの趣旨説明や広報用の素材集、関連イベント等の情報が掲載されています。

News(JPCOAR)
https://jpcoar.org/news/
※2025年10月17日付けで「「オープンアクセスウィーク2025」特設ページを公開しました」とあります。

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2025年のオープンアクセスウィークが始まる(10/20-26):テーマは「我々の知識は誰のものなのか?」

2025年10月20日から26日まで、オープンアクセスウィーク2025(International Open Access Week 2025)が実施されています。

オープンアクセスウィークは、毎年10月に、世界各地でオープンアクセス(OA)に関連する様々なイベントを開催する取組で、学術出版のOAを推進する米国の非営利団体・SPARCが主催しています。

2025年のテーマは“Who Owns Our Knowledge?”(我々の知識は誰のものなのか)です。

International Open Access Week(SPARC)
https://sparcopen.org/our-work/open-access-week/

International Open Access Week
https://www.openaccessweek.org/

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慶應義塾大学、「慶應義塾オープンサイエンス総合案内サイト」を公開

2025年10月17日、慶應義塾大学研究推進支援ポータルサイトにおいて、「慶應義塾オープンサイエンス総合案内サイト」の公開が発表されました。

昨今のオープンサイエンスを巡る急激な環境変化に対応し、学内の研究活動を支援するための新たな情報集約サイトとあります。研究データ管理計画(DMP)の作成から、研究遂行中のデータ保管・共有、論文のオープンアクセス(OA)化や研究データの公開に至るまで、研究のライフサイクル全体を網羅した情報を一元的に提供するとしています。

「オープンサイエンス総合案内サイト」リリースのお知らせ(慶應義塾大学研究推進支援ポータルサイト, 2025/10/17)
https://www.research.keio.ac.jp/news/2025/10/post-23.html

慶應義塾オープンサイエンス総合案内サイト
https://sites.google.com/keio.jp/open-science/home

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ケンブリッジ大学出版局(CUP)、学術出版のオープンアクセスへの移行を巡る課題に焦点を当てたレポートを公開

2025年10月16日、ケンブリッジ大学出版局(CUP)が学術出版のオープンアクセス(OA)への移行を巡る課題に焦点を当てたレポート“Publishing futures: Working together to deliver radical change in academic publishing”を公開しました。

120か国から3,000以上の研究者、出版関係者、研究資金提供者、図書館員を対象として実施されたオンライン調査から得られた知見に基づくものとあります。レポートでは、今日の学術出版が抱える課題として、「出版数の増大による負荷」「財政的持続可能性」「公平性の欠如」「質より量を重視する研究評価制度」の四点を挙げ、持続可能かつオープンで公平な学術出版の将来に向けた提言が示されています。

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【イベント】研究・イノベーション学会第40回年次学術大会企画セッション「学術書のオープンアクセスについて考える」(11/6・オンライン)

2025年11月6日、研究・イノベーション学会第40回年次学術大会企画セッション「学術書のオープンアクセスについて考える」がオンラインで開催されます。

欧米のオープンアクセス(OA)政策の最新動向を紹介するとともに、日本における学術書籍のOA化の現状と課題を整理し、さらに、研究者・出版社・図書館等の関係者がどのように連携し、持続可能なOAモデルを構築できるかについて議論を深めるとあります。

参加には事前の申込みが必要です。司会及び登壇者は次のとおりです。

・司会
 原田隆氏(東京科学大学 情報理工学院 リサーチ・アドミニストレーター(主任URA))

・登壇者
 天野絵里子氏(京都大学総合研究推進本部 リサーチ・アドミニストレーター(上席)/紀要編集者ネットワーク)
 標葉隆馬氏(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 准教授)
 飯澤正登実氏(合同会社Liberality やまなみ書房)
 髙橋愛典氏(近畿大学経営学部 教授/研究・イノベーション学会 大学経営研究懇談会)

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Open Book Collective、書籍のオープンアクセス出版のための共同資金調達モデルにおける図書館員の経験と参加障壁に関する報告書を公開

2025年10月13日、オープンアクセス(OA)書籍に関わる出版社、図書館員等から成る英国の非営利団体Open Book Collectiveが、書籍のOA出版のための共同資金調達モデルにおける図書館員の経験と参加障壁に関する報告書を公開しました。

報告書は、欧州6か国(フィンランド、フランス、ドイツ、オランダ、ポーランド、スウェーデン)の図書館員を中心に、一部出版社、OAの専門家も対象として行ったインタビューを基にしており、共同資金調達モデルに関する既存の研究や各国のOA出版の現状についてもまとめています。

終章では、共同資金調達モデルの推進に向け、透明性のある資金調達や運営を通じた信頼性の構築、各国のコンソーシアムを通じた図書館の参加を可能にすること、地域・言語・主題面での多様な出版、自国語で出版活動を行う地域の出版社との連携など8項目が提言されています。

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東京大学附属図書館、『オープンアクセスハンドブック第3版』を公表

2025年10月15日、東京大学附属図書館が、『オープンアクセスハンドブック第3版』を公表しました。

2024年2月に統合イノベーション戦略推進会議が公表した「学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針」によって、学術論文及び根拠データの即時公開が求められるなど、近年のオープンアクセスを巡る動向を踏まえて、同ハンドブックの第2版を大幅に改訂したとされます。

ニュース(東京大学附属図書館)
https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/contents/news
※2025年10月15日付けで、「「オープンアクセスハンドブック第3版」を公開しました」とあります。

「オープンアクセスハンドブック第3版」を公開しました(東京大学附属図書館)
https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/contents/news/20251015

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米ハワード・ヒューズ医学研究所(HHMI)、新たなオープンアクセス方針を発表

2025年9月24日付けで、米国の医学研究機関ハワード・ヒューズ医学研究所(Howard Hughes Medical Institute:HHMI)が、HHMIの研究者を対象とした新たなオープンアクセス(OA)方針“Immediate Access to Research Policy”を発表しました。

現行のOA方針である“Open Access to Publications Policy”に代わるものです。新方針では、HHMIの研究者に対し、自身が筆頭著者、最終著者又は責任著者として執筆した研究論文をプレプリントとして公開するよう義務付けること等が示されています。2026年1月1日から適用が開始されるとあります。

Publishing and Sharing(HHMI)
https://www.hhmi.org/about/policies/publishing-sharing
※Documentsの項目に“HHMI Immediate Access to Research Policy (effective January 1, 2026)”が掲載されています。

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クリエイティブ・コモンズ(CC)及び文化遺産へのアクセス向上に取り組むイニシアティブTAROCH、オープンな文化遺産に関する声明を発表

2025年10月6日、非営利団体クリエイティブ・コモンズ(CC)及び文化遺産へのアクセス向上に取り組むイニシアティブ“TAROCH(Towards a Recommendation on Open Cultural Heritage)”が共同で、オープンな文化遺産に関する声明“Open Heritage Statement”を発表しました。

TAROCHはパブリックドメインにある文化遺産へのアクセス向上を目的として、CCの主導の下、2024年に立ち上げられたもので、国際図書館連盟(IFLA)を含む60以上の機関等が参加しています。

公開された声明では、文化遺産への平等なアクセス実現に向けて、共有すべき価値観や原則、主要な課題等が示されているとあります。

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OA2020と研究情報のオープン化に関するバルセロナ宣言、学術出版物のメタデータのオープン化に取り組む共同タスクフォースを設立

2025年10月2日、学術雑誌のオープンアクセス(OA)化を目指すイニシアチブ“OA2020”と研究情報のオープン化に関するバルセロナ宣言は、学術出版物のメタデータのオープン化に取り組む共同タスクフォース“Joint Task Force on Negotiating Openness of Publication Metadata”の設立を発表しました。

学術出版物のメタデータを始めとする研究情報の多くが有料のシステム上で提供され、ブラックボックスと化しているという現状に対して、同タスクフォースは、研究機関と学術出版者間の契約交渉において、メタデータのオープン性を要件に組み込むための戦略策定等に取り組むものとあります。

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トルコにおけるオープンアクセスの状況(記事紹介)

2025年9月29日、オープンアクセス(OA)ジャーナルのディレクトリであるDirectory of Open Access Journals(DOAJ)が、トルコにおけるOAの状況に関するブログ記事“Advancing Open Access in Türkiye”を掲載しました。

トルコでは既にOAでの論文公開が一般化(論文全体の約75%)していることや、論文掲載料(APC)が不要なダイヤモンドOAが占める割合が非常に高く(約95%)、DOAJの世界平均(約65%)を大幅に上回ることなどが紹介されています。

Advancing Open Access in Türkiye(DOAJ Blog, 2025/9/29)
https://blog.doaj.org/2025/09/29/advancing-open-access-in-turkiye/

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ケンブリッジ大学出版局(CUP)と独・マックス・プランク協会、書籍のオープンアクセス出版に関する契約を締結

2025年9月、ケンブリッジ大学出版局(CUP)と独・マックス・プランク協会が書籍のオープンアクセス(OA)出版に関する契約を締結したことを発表しました。

同契約により、マックス・プランク研究所に所属する研究者は、同出版局を通じて新刊書をOAで出版できるほか、同出版局の学術プラットフォーム“Cambridge Core”上の書籍へ無制限にアクセスできるようになるとしています。

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学術出版物のオープンサイエンスに関する実践状況と被引用数との関係性:フランスを対象とした研究(文献紹介)

2025年8月28日付けでプレプリントサーバーarXivに、フランスで発表された学術出版物を対象として、オープンサイエンスに関する実践状況と被引用数との関係性を分析した論文“An analysis of the effects of open science indicators on citations in the French Open Science Monitor”が掲載されています。著者は、デンマーク・コペンハーゲン大学のGiovanni Colavizza氏等です。

フランスの研究者が2020年から2022年にかけて発表した論文等の学術出版物約58万件を対象として、プレプリントの公開、研究データの共有といったオープンサイエンスの実践状況と被引用数との相関関係が分析されたとあります。主な結果として、オープンサイエンスの実践状況と被引用数との間には正の相関関係が認められたこと等が示されています。

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オランダ・ユトレヒト大学図書館、学術文献データベース“Web of Science”のライセンス契約を終了:オープンな研究情報の活用を目指す大学の取組の一環として

2025年9月8日、オランダ・ユトレヒト大学図書館が2026年1月をもって学術文献データベース“Web of Science”のライセンス契約を終了することを発表しました。

発表では、今回の決定がオープンサイエンスを推進する同大学の方針に沿ったものであり、クローズドな商用データベースに代わって、オープンな研究情報の活用を目指す大学の取組の一環であること等に触れつつ、契約終了の背景が説明されています。

Access to Web of Science will end on 1 January 2026(Utrecht University, 2025/9/8)
https://www.uu.nl/en/news/access-to-web-of-science-will-end-on-1-january-2026

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DOAJとLatindex、イベロアメリカで発行されるジャーナルの発見可能性を高めるためのパートナーシップを発表

2025年9月10日、オープンアクセス(OA)ジャーナルのディレクトリであるDirectory of Open Access Journals(DOAJ)が、Latindexと、主にスペイン語・ポルトガル語で発行されるイベロアメリカのジャーナルの発見可能性を高めるためのパートナーシップを発表しました。

Latindexは、24機関のネットワークによるイベロアメリカの科学雑誌のためのオンライン地域情報システムで、登録されたジャーナルのディレクトリ等を提供しています。

今回のパートナーシップの下で、2025年9月から1年間の間に、以下の3点に取り組むとしています。

・ DOAJとLatinodexの両データベースに未収録のジャーナルに関する情報交換を行い、イベロアメリカのジャーナルの採録について協力する。
・ 疑わしい慣行(suspicious practices)のあるジャーナルを特定するための方法論等に関する情報を共有する。
・ 疑わしい慣行の特定に関する講座などの学術イベントをイベロアメリカにおいて共同開催する。

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