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英国の公共図書館の歩みを振り返る:公共図書館法制定175周年(記事紹介)

2025年8月12日付けで英国図書館(BL)のブログ“The Newsroom”に、公共図書館法(Public Library Act)制定175周年を記念し、同国の公共図書館の歴史を紹介する記事“The Radical Act behind your local library: Celebrating 175 years of public libraries”が掲載されています。

1850年に同法がイングランド及びウェールズで制定されてから2025年で175年となるのを踏まえ、記事では、制定当時の議論、初期の公共図書館の様子、現代との違い等についてBLが所蔵する新聞資料とともに紹介されています。

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愛知県、愛知県美術館・愛知県陶磁美術館・愛知県立芸術大学3施設の共同収蔵庫を常滑市に整備すると発表:2030年度完成予定

2025年7月22日、愛知県は、愛知県美術館、愛知県陶磁美術館及び愛知県立芸術大学の各施設が美術品等の保存及び収集活動等を継続できる収蔵スペースを確保するため、全国初となる共同収蔵庫を常滑市奥栄町に整備すると発表しました。

今後は、2030年度完成を目標として、収蔵環境を一部公開する機能を付与するなど整備内容の検討を進めるとしています。

【知事会見】美術品等共同収蔵庫の整備候補地について(愛知県, 2025/7/22)
https://www.pref.aichi.jp/press-release/syuuzouko-kouhochi.html

参考:
E2708 – 「博物館の収蔵コレクションの現状と課題を考える」<報告>
カレントアウェアネス-E No.482 2024.06.27
https://current.ndl.go.jp/e2708

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全国学校図書館協議会(全国SLA)、第30回日本絵本賞記念「絵本講座」(全3回)を開催

2025年9月から2026年4月にかけて、全国学校図書館協議会(全国SLA)が、第30回日本絵本賞記念「絵本講座」(全3回)を開催します。

全国SLAは、1995年から、絵本芸術の普及、絵本読書の振興、絵本出版の発展を願って、優れた絵本を顕彰する「日本絵本賞」を実施しています。この講座は、日本絵本賞が2025年に第30回を迎えることを記念して企画されたもので、「絵本とは何か」というテーマの下、同賞の最終選考委員長を長年務めている松本猛氏(美術・絵本評論家、ちひろ美術館常任顧問)が、3回にわたり講義を行う予定とされています。

参加に当たっては、事前申込みが必要です。

SLAからのお知らせ(全国SLA)
https://www.j-sla.or.jp/news/
※2025年8月7日付けで「【第1回の受付開始!】第30回日本絵本賞記念 絵本講座(全3回)」とあります。

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ペルー国立図書館(BNP)、デジタルイノベーションラボ“Laboratorio de Innovación Digital”を立ち上げ

2025年7月24日、ペルー国立図書館(BNP)が、デジタルイノベーションラボ“Laboratorio de Innovación Digital”(BiblioLAB)の立ち上げを発表しました。

発表によると、BiblioLABは、デジタルトランスフォーメーションに向けた、図書館サービス及び文書遺産保存を強化するための共創や技術的実験のための場とされています。その主要な目的として、同館が所蔵する資料等の保存・管理において革新的な工夫を取り入れていくことや、デジタル化等に関するプロジェクトを展開していくことなどが挙げられています。

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小規模図書館がAIで革新を起こす方法(文献紹介)

2025年7月22日付けで、米国の非営利出版者Annual Reviewsによる世界の図書館員、出版者、ベンダー向けのオンライン雑誌“Katina”に、小規模図書館におけるAI活用に関する記事“How One Small Library is Innovating with AI”が掲載されています。著者は、米国の大学で国際教育に関わる活動に従事しているSusan McClellan氏です。

記事では、米・ピッツバーグの獣医技術学校図書館における、レファレンスサービス、蔵書構築、情報リテラシー教育へのAIツールの導入事例が紹介されており、AIツール名、導入方法、効果、評価、注意点等が具体的に示されています。

AIツールの導入により、学生の学習成果と図書館運営のどちらにも目に見える効果があったとしており、結論として、AIツールに関し、図書館は次の対応を行う必要があるとしています。

・導入の透明性(適切な利用方法に関する明確なガイダンスの提供)
・アクセスの公平性(全ての学生への無料アクセスの提供)
・教員と図書館員の連携
・データに基づく指導(利用パターンと学生の成績データの定期的レビューによる有効性の評価)
・倫理教育(倫理的な理解に役立つワークショップ等の実施)

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【イベント】国立情報学研究所(NII)2025年度市民講座「情報学最前線」(9/16、10/15、11/26・東京都、オンライン)

国立情報学研究所(NII)が主催する2025年度市民講座「情報学最前線」が、学術総合センター(東京都千代田区)における現地開催とオンラインで開催されます。

現地開催講座は2025年9月16日、10月15日、11月26日に開催、オンライン講座の公開日は後日ウェブサイトに掲載予定としています。

参加は無料です。

○現地開催講座(事前申込みが必要)
・第1回:9月16日
「AI技術をすべてのひとへ―手話を認識・翻訳するとはどういうことか―」坊農真弓氏(情報社会相関研究系准教授)
・第2回:10月15日
「ネット社会の信頼性―オンラインで安心して生きるために―」佐藤周行氏(アーキテクチャ科学研究系教授)
・第3回:11月26日
「「データ」が未来を創る!―科学と社会をつなぐ新たな挑戦―」中野恵一氏(オープンサイエンス基盤研究センター特任研究員)

○オンライン講座
・第1回(高校生向け)
「グラフで読み解く世界のつながり―地図アプリから推しのグッズを得る方法まで―」佐藤竜馬氏(情報学プリンシプル研究系助教)
・第2回(高校生向け)
「AI時代の読書術―情報空間のそぞろ歩きのすすめ―」高野明彦氏(国立情報学研究所名誉教授)

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武雄市図書館・歴史資料館、企画展「戦後80年 遠ざかる記憶 未来へのバトン」を開催中

2025年8月2日から9月7日まで、武雄市図書館・歴史資料館(佐賀県)において令和7年度武雄市図書館・歴史資料館企画展「戦後80年 遠ざかる記憶 未来へのバトン」が開催されています。

武雄市では、新市史の編さん事業に伴い、戦争に関する資料についても広く提供を呼び掛けてきたとあります。展示では、戦後80年を契機に、地域で受け継がれてきた戦時資料が紹介されています。

8月17日、23日、9月6日にはギャラリートークも開催されます。8月17日のギャラリートークでは、資料提供者による資料の説明等が行われます。

戦後80年 遠ざかる記憶 未来へのバトン(武雄市図書館)
https://takeo.city-library.jp/event/Historical%20Museum%20special%20exhibition/entry-3308.html

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広島市公文書館、被爆80年企画展「「あの日」までの1年」を開催中

2025年7月22日から9月26日まで、広島市公文書館において被爆80年企画展「「あの日」までの1年」が開催されています。

原爆投下までの1年間に作成された文書や写真が展示されており、戦争末期の広島市と周辺町村の様子が紹介されています。

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椎葉村交流拠点施設Katerie及び椎葉村図書館「ぶん文Bun」、「かてりえ展~この土地に刻まれた、椎葉中学校寮生活の記憶~」を開催中:開館5周年

2025年7月18日から8月25日まで、椎葉村交流拠点施設Katerie(宮崎県)において「かてりえ展~この土地に刻まれた、椎葉中学校寮生活の記憶~」が開催されています。

椎葉村交流拠点施設Katerie及び同施設に入居する椎葉村図書館「ぶん文Bun」は、2025年7月18日に開館5周年を迎えました。5周年を迎えるに当たり、かつて同施設の場所にあった椎葉中学校寮での寮生活に関するインタビューが実施されました。展示では、これまでに収集されたインタビュー記録、写真、卒業アルバム、寮誌などが紹介されています。

「かてりえ展~この土地に刻まれた、椎葉中学校寮生活の記憶~」開催!(Katerie, 2025/7/18)https://katerie.jp/2025/07/18/%e3%80%8c%e3%81%8b%e3%81%a6%e3%82%8a%e3%81%88%e5%b1%95%e3%80%8d/

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八代市立図書館せんちょう分館、大雨による浸水被害のため臨時休館

2025年8月12日、八代市立図書館(熊本県)は、同館のせんちょう分館が大雨による浸水被害のため当面休館すると発表しました。

開館の見通しは立っておらず、返却ポストも利用できないとしています。

熊本県内では、8月10日から記録的大雨となっていました。

【せんちょう分館】当面の間 休館します(八代市立図書館, 2025/8/12)
https://www.yatsushiro-lib.jp/topics/2025/3428/

【図書館】臨時休館のお知らせ(八代市, 2025/8/12)
https://www.city.yatsushiro.lg.jp/kiji00324626/index.html

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世界経済フォーラム(WEF)、メディア情報リテラシーに関する報告書“Rethinking Media Literacy: A New Ecosystem Model for Information Integrity”を公表

2025年7月21日、スイス・ジュネーブに本部を置く非営利の国際団体である世界経済フォーラム(WEF)が、メディア情報リテラシーに関する報告書“Rethinking Media Literacy: A New Ecosystem Model for Information Integrity”をウェブサイト上で公表しました。

生成AI等の技術により偽情報が以前に増して複雑な課題となり、メディア情報リテラシーが重要な対応策となる中、報告書はメディア情報リテラシーのための取組を社会全体で進めるための枠組みを提示するものとあります。

Why media and information literacy are essential in the age of disinformation(World Economic Forum, 2025/7/21)
https://www.weforum.org/stories/2025/07/disinformation-media-and-information-literacy/

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科学技術・学術政策研究所(NISTEP)、「科学技術指標2025」と「科学研究のベンチマーキング2025」を公表

2025年8月8日、一般社団法人科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が、科学技術活動を客観的・定量的データに基づき体系的に把握するための基礎資料「科学技術指標2025」を公表しました。

科学技術指標は、約160の指標で日本及び主要国の状況を表しています。

趣旨によると、日本は、研究開発費・研究者数が主要国(日米独仏英中韓の7か国)中第3位、論文数(分数カウント法)が世界第5位、特許(パテントファミリー)数が世界第1位でした。いずれも、科学技術指標2024と同じ順位です。

また、科学研究活動を論文に着目して分析した基礎資料「科学研究のベンチマーキング2025」も併せて公表されました。日本の国際共著論文数は長期的に増加している一方で、共著相手国としての存在感は低下傾向にあるとしています。ただし、東アジア・東南アジアの6か国・地域では存在感を保っているとあります。

「科学技術指標2025(調査資料-349)」及び「科学研究のベンチマーキング2025(調査資料-350)」を公開しました(NISTEP, 2025/8/8)
https://www.nistep.go.jp/archives/61221

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【イベント】情報科学技術協会(INFOSTA)、座談会「SLA最後の年次総会から考える―情報専門職が集う“場”のこれから」(9/17・東京都、オンライン)

2025年9月17日、一般社団法人情報科学技術協会(INFOSTA)が、特定非営利活動法人日本農学図書館協議会(JAALD)との共催により、座談会「SLA最後の年次総会から考える―情報専門職が集う“場”のこれから」を東京農業大学国際センター(東京都世田谷区)における会場参加及びオンラインで開催します。

イベントの趣旨として、存続が課題となっている米国専門図書館協会(SLA)の将来の方向性について議論が行われた2025年のSLA年次総会の報告を起点として、情報専門職が直面する国際的な潮流を見つめ直す機会とするとしています。

オンサイトでの参加費は2,000円、オンライン参加は無料です。いずれも、事前申込みが必要です。

<座談会>SLA最後の年次総会から考える―情報専門職が集う“場”のこれから(INFOSTA, 2025/8/8)
https://www.infosta.or.jp/seminars/semi20250917/

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フランス・文化省、文化財保護のための環境リスクマッピングの取組を紹介

2025年8月8日付けで、フランス・文化省(Ministère de la Culture)が、文化財保護のための環境リスクマッピングの取組について、ウェブサイト上で紹介しています。

文化関係者を支援するための取組で、気候変動に関連する課題に直面する中、リスク予測能力を強化し、予防措置を講じ、文化遺産を保護することが目的とされます。

具体例として、2025年に開始されたノルマンディーにおける試行プロジェクトでは、海岸線の後退や海水没のリスク等に関する環境データを遺産目録と相互参照し、作成された地図により、浸食や海面上昇の脅威にさらされている沿岸地域において、脆弱な遺産をより正確に特定することが可能となることが紹介されています。

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【イベント】ししょまろはん「没年調査ソンin京都 vol. 7」(8/30・京都府、オンライン)

2025年8月30日、京都府立図書館(京都市)の司書から成る自主学習グループ「ししょまろはん」の主催により、「没年調査ソンin京都 vol. 7」が京都府立図書館における会場参加とオンラインで開催されます。

「没年調査ソン」は、著作者の没年を調べる没年調査とマラソンを掛け合わせた造語で、短時間で集中してみんなで没年調査を行うことを表しています。

第7回の調査対象は「京都にゆかりの著作者」で、イントロダクションとして南波佐間望(国立国会図書館)が没年の調べ方について、また、德田恵里氏(大阪芸術大学特任准教授)が京都の人を調べるためのテクニックについて説明したのち、没年調査と結果発表が行われます。

参加には事前の申込みが必要です。

没年調査ソンin京都Vol.7を開催します!(ししょまろはんラボ, 2025/8/5)
https://libmaro.kyoto.jp/?p=1170

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経済協力開発機構(OECD)、人工知能(AI) に関する世界の公的な政策等の動向を把握するためのツール「GAIIN(Global AI Initiatives Navigator)」を公開

2025年7月10日、経済協力開発機構(OECD)は、人工知能(AI)に関する世界の公的な政策等の動向を把握するためのツール「GAIIN(Global AI Initiatives Navigator)」を公開したと発表しました。

GAIINは、OECDが運営する、AIに関するオンラインプラットフォームOECD.AIのデータベースを再設計・拡張したもので、新しい機能として次の点が挙げられています。

・情報量を拡大し、80以上の管轄区域及び国際組織の1,300以上の情報をカバー
・更新の迅速化、更新情報の提供
・フィルター、レイアウト、アクセシビリティの改善による直感的インターフェースの提供

Introducing GAIIN: The Global AI Initiatives Navigator(OECD, 2025/7/10)
https://oecd.ai/en/wonk/introducing-gaiin

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機関リポジトリへの研究成果の登録を呼び掛ける“Bring Out Your Dead!”コンペティション:オーストラリアの大学図書館の事例(文献紹介)

2025年8月4日付けで、国際図書館連盟(IFLA)が刊行する査読誌“IFLA Journal”に、オーストラリアのジェームズクック大学図書館におけるグリーンオープンアクセス(OA)の取組に焦点を当てた記事“Unlocking the repository: A strategy for increasing the uptake of green open access”が掲載されています。著者はジェームズクック大学図書館のJayshree Mamtora氏等です。

同館では、研究者による研究成果の機関リポジトリへの登録を促進するため、過去五年間に出版された非OA論文の著者最終稿を図書館に提出するよう研究者に呼び掛け、最も多く提出した者を表彰する“Bring Out Your Dead!”コンペティションを2024年に実施しました。

記事では、コンペティションの成果や意義、更なる発展に向けた課題等について報告されています。

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図書館情報学分野のジャーナルにおける生成AI利用に関する透明性の現状(文献紹介)

2025年7月31日付けで、Chinese American Librarians Association(CALA)が発行する図書館情報学分野の査読誌“International Journal of Librarianship”に、図書館情報学分野のジャーナルにおける生成AI利用に関する透明性の現状を調査した論文“AI in Scholarly Publishing: A Study on LIS Journals’ Guidelines and Policies”が掲載されています。著者は米・ヒューストン大学のWenli Gao氏等です。

図書館情報学分野のジャーナル45誌を対象として、出版ガイドラインやポリシーから論文の投稿、査読、編集における生成AIの利用に関する記述を調査し、出版者ごとの特徴やインパクトファクターとの関連等を分析しています。結果として、45誌中31誌が生成AIツールの利用に関する立場を示しており、透明性確保のため、生成AIを利用した際には論文で明示するよう義務付けていたこと等が示されています。

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ChatGPTは学術論文の撤回やその他の信頼性に関する懸念を考慮しているか(文献紹介)

2025年8月4日、学術コミュニケーションと出版に関する査読誌“Learned Publishing”の38巻4号に、ChatGPTは学術論文の撤回やその他の信頼性に関する懸念を考慮しているかについての論文“Does ChatGPT Ignore Article Retractions and Other Reliability Concerns?”が掲載されています。著者は、英・シェフィールド大学のMike Thelwall氏等です。

ChatGPT-4o miniを用いて、公開された学術論文の撤回やその他の懸念点を認識できるかどうかを試したところ、これらの情報は認識又は考慮されていないことが示されたとし、大規模言語モデルによって作成された文献要約には誤った情報が含まれている可能性があるため、ユーザーは注意する必要があると述べています。

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