誰も教えてくれないソフトウェアの社会学
2026年4月6日 21:08
——先輩、まさか私立探偵に鞍替えしていたとは思いませんでしたよ
真実から逃げたのさ。プロジェクト炎上の責任を一人でかぶろうとしたと人は言うが、ただ臆病だっただけだ。ずぶ濡れの子犬みたいにな。
半地下のこの店では外の雨音が、店内にも少し聞こえ続ける。カウンターで隣のスツールに座る後輩と俺の間には、まだ再会したばかりのぎこちなさも残っている。
薄くかかったビル・エヴァンスのピアノの音は、そんな空気の上を転がって消えていく。氷とグラスのぶつかる音だけが、やけに正確な秒針みたいに夜を刻んでいた。
こいつは元SIer時代、10年以上後輩だった男で、色々と指南してやった。腐れ縁で時々飲みに行くが、...